「マッチングアプリで誘われたBARでぼったくり被害」最近こうしたニュースの見出しを目にする機会が増えました。
飲食店は集客のために広告が必要になる場面も多くありますが、マッチングアプリを利用するこの手法は「風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」が関わるお店にとって重大な違反になる可能性があります。
従業員等がアプリ上で客を勧誘して来店させる
客引きの禁止(風営法22条)違反
店とつながった”サクラ”がアプリで知り合った客を連れてきて、店内で一緒に飲食する
店側の接待と同視され、無許可営業(1号営業の許可なく接待)となるおそれ
この記事では、この2つのリスクの法的な根拠と実際の摘発事例を風営法専門の行政書士が解説します。なお、マッチングアプリという出会いの場そのものを否定する趣旨ではありませんので、ご了承ください。

風営法の手続きについてご相談したい経営者さまは是非、当事務所までご連絡ください!!

マッチングアプリを使用した「客引き違反」の可能性
風俗営業を営む者の「客引き」に関する禁止行為
風営法が関わる飲食店(キャバクラやホストクラブ、ラウンジ、スナック、ガールズバー、コンカフェなど)は客引き行為というのを禁止するように定められております。
※飲食店であっても、地域の条例で迷惑行為防止のため客引き行為を禁止している都道府県がほとんどです。
第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 …、以下省略
(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)
なお、風俗営業でない一般の飲食店でも、ほとんどの都道府県で迷惑行為防止条例により客引き行為が禁止されています。
警察庁の解釈運用基準が「アプリ上の客引き」を明示

さらに、この客引き行為はマッチングアプリ上で行われた場合であっても「客引き」に該当しうると警察庁の解釈運用基準で公表されております。
また、「客引き」については「道路その他公共の場所」や「公衆の目に触れるような方法」でなされることは要件とされていない。
(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準)
「客引き=路上のキャッチ」というイメージが強いですが、「公共の場所で」という要件はそもそも客引きの要件ではありません。アプリのDMやSNS上の1対1のやり取りでも、相手を特定して来店を勧誘すれば客引きに当たり得るのです。
“サクラ”を使った集客は無許可営業になるおそれ
あるときお店の経営者は思いつきました!!



そうだ!マッチングアプリを利用して、女性に客を連れてきてもらったら簡単に集客できる!!女性にはキックバックをあげれば、頑張って客を釣ってきてくれるだろう!!
これは実際に逮捕されている事例ですが、マッチングアプリで知り合った女性が「行きたかったお店がある」と言って紹介されたお店が実は店と女性は裏で繋がっていて、さらにお酒が入った状態なのを利用してボッタクリの金額を支払わせてトラブルにもなりました。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221008-OYT1T50133
なぜ無許可営業になるのか
一見、店と客の関係であるかのように見せかけてあらかじめ何かしらの申合せがあるなど特別な関係があると認められる場合にその客が接待を行うのであれば「店側の従業者による接待行為」と同視されます。
接待を行う営業は風営法の1号営業(接待飲食等営業)の許可が必要ですから、許可なくこれを行えば無許可営業——風営法の中で最も重い罰則(5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科)の対象となり得ます。



このような方法に関しては、実際に風営法の無許可営業の違反となり逮捕された事例もありますので、絶対に真似をしないようにしてください。
相席屋・出会い系コンセプトのBARも要注意
この論点の延長線上には、出会いや相席を売りにしたBAR・居酒屋で”サクラ”を使うと、営業者による接待行為になり得るという議論もあります。相席系・出会い系コンセプトのお店の経営者は、この点を十分に理解したうえで営業することをおすすめします。
風営法違反だけでなく「詐欺罪」に発展するケースも
最近のニュースでは、店舗ではなくBARとして借りられるレンタルスペースで同様の手口が行われるなど、新たなパターンも出てきています。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tvasahinews/nation/tvasahinews-000512727?redirect=1



刑法に詳しいわけではありませんが、詐欺罪は執行猶予がありませんので、詐欺で捕まり起訴され有罪が確定したら、、、
その場合は刑事罰のリスクがさらに重くなります。
よくある質問(FAQ)
- 従業員が個人のアプリアカウントで営業するのもダメですか?
-
店側が直接指示していなくても、売上やキックバックと結びついていれば「店と意を通じた行為」と見られる可能性があります。解釈運用基準でも、営業者以外の者が営業者と意を通じて禁止行為をした場合、共犯として処罰できる旨が示されています。
- アプリ上のやり取りは公共の場所ではないので、客引きにならないのでは?
-
なりません…とは言えません。「公共の場所で」は客引き(22条1項1号)の要件ではなく、相手を特定して来店を勧誘すれば、非公開のやり取りでも客引きに該当し得ます。
- お客さんが友達を連れてきてくれるのも違反ですか?
-
純粋な口コミや友人の紹介は問題ありません。問題になるのは、店との申合せ・報酬などの特別な関係がある人物を”客のフリ”をさせて集客・接客させるケースです。
- 風営法の許可を取っていれば、アプリで集客してもいいですか?
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いいえ。客引きの禁止(22条)は風俗営業許可の有無にかかわらず、相手を特定した来店勧誘はリスクがあります。
まとめ
風営法が関わる飲食店がマッチングアプリを集客に使うのは、おすすめしません。
飲食店さんや風営法の関わるお店は広告するなという話しではありません。マッチングアプリという出会いの機会を否定している訳でもありません。
しかし、従業員に「マッチングアプリでお客さん探してきて」と指示するのはかなり危険です。
店側が直接指示していなくても、売上とキックバックなどと結びついていれば、店と意を通じた行為と見られる可能性もあります。警察庁の解釈運用基準でも、営業者以外の者が営業者と意を通じて禁止行為をした場合、両罰規定による共犯として処罰できる旨が示されています。
※客引きに関しては「公共の場所」という単語に着目されがちですが、路上以外でも公衆の目に触れない方法でも適用される可能性があります。
風営法という法律は、実態に合わせて法律の適用がなされる部分があるため「公共の場じゃないから客引きにならない」や「お客さんが連れてきただけだから」という体裁を取っても風営法の取り締まりを回避することができません。



ここまでお読みいただきありがとうございました。風営法について何か心配事がございましたら、何でも構いませんのでお気軽にご相談ください!


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風俗営業1号許可が必要かどうかは、「隣に座るか」「お酌をするか」だけで決まるものではありません。重要なのは、スタッフが通常の飲食提供を超えて、お客様を歓楽的にもてなす(接待する)役割を担っているか、特定のお客様に対して継続的な会話やサービスを行うか、お店全体が歓楽的な雰囲気づくりを売りにする営業かどうかです。
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