風営法の手続きで提出する図面とは?行政書士が解説

風営法の図面

風営法の営業許可や深夜営業の届出が必要なお店(例えばガールズバーやラウンジ、スナック、コンカフェ、ポーカー店など)を開業するとき、警察署の窓口で最も難しいのが「図面」です。

内装業者がくれた図面をそのまま出したらダメだった…

求積図って何?CADがないと作れないの?

何回直しても『これじゃ受理できない』と言われる

実は、風営法で必要になる図面は建築図面とは別物です。内装業者の図面がそのまま使えないのはこのためで、ここを知らずに窓口へ行くと、差し戻しのたびにお店の開業が遅れてしまいます。これは大きな機会損失です。

ここは前のお店もスナックだったので、許可はすぐ取れますよ

この記事では、日常的に申請図面を作成している風営法専門の行政書士が必要な図面の種類、差し戻される図面の共通点、注意点について解説します。

目次

風営法の手続きに必要な図面の種類

風営法の営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の届出の手続きで、一般的に必要となる図面は次のとおりです。

必要な図面の一覧

①営業所周辺の略図(営業所を中心とした周辺地図。保全対象施設の位置や距離を示す)

②営業所の平面図(営業所全体のレイアウト。営業所、客室の配置や設備の詳細)

③求積図(面積の算出根拠を示す図面)

④照明音響防音消防設備図(照明の位置・種類・ワット数、スピーカー・アンプ・カラオケ等の位置など)

⑤フロア図(営業所の位置などを示す図面)

※営業所のある都道府県、管轄の警察署によって細かい内容に運用の差がございます。

警察署で差し戻される図面の特徴

いざ警察署に手続きに行ったら「これじゃ受理できない」「図面を作り直してください」となることは少なくありません。日常的に風営法の図面作成をしている行政書士なら間違えることはありませんが、ご自身で手続きしようとして失敗した多くの原因は、図面の差し戻しが一番の原因じゃないかと感じます。

工務店の図面が使えない理由

工務店や内装業者が使う図面は「工事を施工するための図面(設計図)」であり、風営法の審査をするための情報は載っていません。少なくとも警察側が確認したい情報が全て揃っているものではないからです。

ひと言で「図面」といっても様々な図面があり、工務店と風営法では「その図面が作られた目的」が明確に違います。

重要ポイント

風営法の手続きで提出する図面は、風営法の基準が満たされているか審査するために作成し、そのための情報が一目で分かりやすく記載されている必要があります。

求積計算の違い

そもそも建築図面は「壁芯(壁の中心線)」で描かれた図面であるのに対し、風営法の図面では「内法(壁の内側)」で計測した面積計算を行わなければなりません。この根拠は風営法の解釈運用基準にも明記されております。

「解釈運用基準」許可申請書の記載要領

許可申請書中の「営業所の床面積」欄は、建築基準法上の床面積を記載することで足りるが、「各客室の床面積」欄は、壁、柱等の区画の中心線から計るものではなく、うちのりの面積を記載するものとする。

提出する書類に「営業所面積」と「客室面積」を記入する欄があるのですが、床面積は内法で計算された面積結果を記載しなければならないという決まり事になっています。

風営法の1号営業(接待飲食店営業)や深夜営業のお店には、2室以上の客室を設ける場合は1室につき最低限必要な床面積の基準があります。これを確認するために内法寸法で計算された床面積とその根拠が図面に記載がなければならないのです。

重要ポイント

風営法は「床面積」を重視しており、内法寸法で計算した面積が必要になる。

客室と営業所の範囲の取り方が誤っている

申請書(または届出書)には営業所や客室の面積数値を記入する項目があると先ほど説明しました。その根拠を示すのが求積計算図なのですが、このとき「営業所の範囲とは?」「客室とはどこからどこまで?」と図面に範囲を記載しておきます。

これも解釈運用基準で次のように説明されています。

「解釈運用基準」客室の意義

「客室」とは、客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるために客に利用させる場所を指す。例えば、調理場、バーカウンターの内側の客が位置しない部分、洗面所、和風の営業所における床の間・押入れ・廊下、ショーや
歌舞音曲を実演するためのステージで客が位置しないもの等は、ここにいう客室には含まれない。

客室の考え方は行政書士の間でもそれだけで議論できるぐらい解釈や考え方が奥深いものです。
ちょっとした違いは補正で対応することができますが、明らかな間違いは差し戻しになってしまうことがあります。

重要ポイント

客室の考え方を間違えると求積計算の全てをやり直しになる。客室の範囲を間違えると重大なミスになる可能性がある。(のちほど解説いたします。)

見通しを妨げる設備の有無が確認できない

風営法の審査基準に「客室内に見通しを妨げる設備を置いてはならない」というルールがあります。見通しを妨げる設備とは「高さがおおむね1メートル以上のもの」です。

「解釈運用基準」構造及び設備の技術上の基準

「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいう。

重要ポイント

この高さの基準が守れているか確認するのために、平面図や配置図に設備の詳細図を記載します。

照明の数、ワット数や防音構造の記載がない

風営法には「照度」や「騒音」についての基準があります。これを確認するため照明の数や位置、ワット数、オンk表設備の数と位置、防音構造について図面にその情報が記載されていることが求められます。

実際の照度や音量については実査のときに照度計や騒音測定器によって確認されますが、少なくとも図面は現況に合わせた数や位置を記載する必要があるので、明らかに照明器具が少ないお店は「このお店は暗闇の中で何かしようとしている?」と疑念が残ります。

重要ポイント

「照度」や「騒音」についての基準を満たしてなければ許可されない、もしくは違反となってしまうので、図面には照明器具や音響設備を全て正しく記載しましょう。

間違った図面はトラブルの元

これまで解説してきて何となくお気づきかもしれませんが、手続きに提出した図面はお店が基準を満たしている状態であることを証する重要な資料です。図面を「適当に作って提出しちぇ」や「ちょっと足りないから書き足しておこう」といったことをしてしまうと重大なリスクが発生します。

間違った図面を提出してしまった場合、次のような危険性があります。

不正の手段による許可の取得

これは最も悪質な不正を行った場合ですので、よっほど悪意を持って行わなければ該当する場面はないと思います。

「虚偽の図面を提出し検査を受けて審査をクリアし、その後に内装工事を行う(例えば、無断で個室を増設するなど)」といった不正は、風営法第四十九条の第二項「偽りその他不正の手段により許可を受けた場合」という最も重たい罰則が規定されている違反に該当する可能性があります。

客室外の使用

これは悪意がなくとも該当する可能性があり十分に気を付けてほしいことなので、しっかりと聞いてほしいところです。

提出した図面には客室の範囲を記載し、面積の計算も記入して申請(または届出)をして手続きを行います。無事に受理され営業を開始したのち、客室じゃない場所にて接待や遊興をしてしまうと「無承認構造変更」の違反に該当する可能性がでてくるのです。

客室を増やす場合は客室範囲が変わる場合は、変更承認申請を経て変更しなければなりません。いい加減な範囲で適当に決めた客室の範囲で営業を開始すると、知らぬ間に客室外を使用してしまっているかもしれません。

変更届(変更申請)の手間が増える

これが日常的に一番起こり得るミスなのですが、うっかり書き忘れた照明器具や音響設備などがあった場合、現況と図面が一致していないならばそれを修正しておかなければなりません。

手続きの過程で発覚した場合は補正(図面の差し替え)で対応したり、許可後や届出済みで営業開始後に発覚した場合には変更届の提出や内容によっては変更承認申請(先ほどの客室範囲の間違いなど)によって是正する必要があります。

この章のまとめ

・図面は現況に合わせた内容で提出しなければ違反のリスクもあるし、二度手間を避ける意味でも間違いないように提出するのがおすすめです。

自分で図面を作るのは無理なのか

不可能ではないですが、ほとんどの人は時間と労力が割に合いません。時間に余裕があり、CAD等を扱える方が自作すること自体は可能です。

自分で作成する場合行政書士に任せた場合
費用計測機器の用意が必要数万円〜
時間図面とは?調査時間+実測+作図+差し戻し対応で、数十時間実測に立会いのみ
リスク×高い○低い

図面の差し戻しで開業が1,2週間遅れれば、家賃・人件費で図面作成の依頼費用を超える損失になることが珍しくありません。
「時間をお金で買う」判断が合理的な場面です。

ご自身で図面を作成する場合は、事前に必要になる図面の種類その他必要書類について管轄の警察署に確認しておくのをおすすめいたします。

CADで作らないとダメなのか?

結論、CADじゃなくても大丈夫です。手書きでも必要な情報が記載されていたら使えますし、エクセルや画像作成ソフト(Canvaやイラストレーターなど)で作成しても良いです。

CADを使う理由は、図面作成に特化したソフトなので「手軽に作れて、綺麗に描ける」からです。レイヤー機能や寸法計算、コピペなど図面作成ソフトならではの使い勝手が良いからCADを使っているのです。

実測のポイント

図面作成に意識が向きがちですが、図面は実測の精度で決まります。実際に採寸をするときに「どこからどこまでの距離が必要なのか?」「どんな情報が必要なのか?」を意識して計測するのがポイントです。

実測のポイント

・床面積で計算しなければならないところは、内法で測る。
・柱・梁の出っ張り、設備の造作を漏らさない
・レーザー距離計とメジャーを併用する
・写真を撮っておけば、家で作業するときに役に立つ

営業許可を取得するための手順

風営法の手続きが必要なお店を開業するとき、次のようなステップで営業を開始します。図面作成はSTEP2の一部ですので、早く開業するためには必要書類の準備が早く完了することに直結します。

STEP
営業予定の場所を決める

営業するための物件を探して契約し、内装工事など準備を開始する

STEP
営業許可の取得とお店の開店に向けた準備を開始する

内装工事が完了したら実測して図面を作成し、その他必要書類を準備する

STEP
警察署(保健所)へ営業許可の申請や届け出を行う

必要な書類が揃ったら飲食店営業許可の申請は保健所へ、風営法の手続きは警察署へ申請(または届出)を行います

STEP
店舗の検査

検査では提出された図面を元に職員が実測し、寸法や面積、機器の数や位置の確認、照度や騒音量の計測、見通しを妨げる設備等の有無や高さの確認などを行います

STEP
無事に合格であれば許可、営業開始へ

申請に対し審査基準を満たしていることが確認できたら許可を受けて、営業を開始していただけます。

まとめ

図面は風営法の手続きにおいて重要な役割があると、ご理解いただけますと幸いです。

最後に、これだけは覚えて帰ってください。

・風営法の図面は工務店などが使う図面と別物。内装業者の図面をそのままの状態では使えない。

・現況に合わせた情報を記載する。不正は重大な違反リスク、ミスは補正や変更届などで対応できる。

・現地検査で図面は重要な資料となり、担当者は図面を見ながら検査を行います。綺麗で見やすい図面作成を心がけましょう。

風営法の手続きは専門性が高いため、図面作成お悩みの方は風営法が得意な行政書士へご相談くださいませ。

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【対応エリア】

大阪府全域(大阪市、堺市、豊能町、池田市、箕面市、豊中市、茨木市、高槻市、島本町、吹田市、摂津市、枚方市、交野市、寝屋川市、守口市、門真市、四條畷市、大東市、東大阪市、八尾市、柏原市、和泉市、高石市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、貝塚市、熊取町、泉佐野市、田尻町、泉南市、阪南市、岬町、松原市、羽曳野市、藤井寺市、太子町、河南町、千早赤阪村、富田林市、大阪狭山市、河内長野市)

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質問 1 / 10 0%
Q1

診断結果

あなたのお店に必要となる可能性が高い許認可は

よくある誤解について
風俗営業1号許可が必要かどうかは、「隣に座るか」「お酌をするか」だけで決まるものではありません。重要なのは、スタッフが通常の飲食提供を超えて、お客様を歓楽的にもてなす(接待する)役割を担っているか、特定のお客様に対して継続的な会話やサービスを行うか、お店全体が歓楽的な雰囲気づくりを売りにする営業かどうかです。

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