【かんたん解説!】義務化されたHACCPとは?飲食店がやるべきことを簡潔に解説します!

「最近、食品衛生法が改正されて、HACCPをやらなくちゃいけないって聞いたんだけど、何をすればいいの?」や「そもそもHACCPって何?」といった疑問に今回はお答えしようと思います。
飲食店向けに解説しますので最後までお読みいただくと、難しいと思っていたHACCPが出来るようになれるはずと思います。

何をどうすればいいのか、まずはHACCPについて知ることから始めましょう!

目次

HACCPとは?かんたんに解説します。

■食品衛生法が平成30年に改正され、令和3年6月1日より施行されました。これに伴い「HACCPに沿った衛生管理」が、原則として全ての食品関連事業者に義務化されました。

HACCP(ハサップ、もしくわハセップ)とは「Hazard(危害要因)」「Analysis(分析)」and「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の頭文字を取ったもので原材料の受け入れから最終製品までの工程ごとに微生物、化学物質、異物混入など潜在的な危害要因を分析・特定した上で、危害発生につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録していく衛生管理方法です。

要するに、食中毒など食の事故が起きないようにこれまで行ってきた衛生管理を項目ごとに「見える化」して、食の安全を皆んなで守るため一定のルールを定めましょう、といった感じです!

※食品衛生に関する指導員の方が見たらざっくりすぎて怒られるかもしれませんが、まずは大まかなイメージをお伝えしております。

でもHACCPなんてそんな大層な話し、うちには関係ないですよね??

では次は、HACCPを実施しなければならない「事業者」について解説します!!

HACCPを実施しなければならない事業者について

小さな飲食店など食品関連事業者はこれまで【一般的な衛生管理】を行ってきました。それに加えて急にHACCPも実施しろって言われても困ります。そこで、事業者の規模や内容に応じてHACCPで取り組むべき内容を区分しております!

【小規模事業者とは?】
「食品の取り扱いに直接従事する者が50人未満の製造・加工等の事業場
「製造・加工等した食品の全部または大部分を隣接または併設する店舗で小売販売するもの」
飲食店営業または喫茶店営業を行う者その他食品を調理する営業者」
「食品を分割して容器包装に入れ、または容器包装で包み小売販売する営業者
「容器包装に入れられ、または容器包装で包まれた食品のみを貯蔵・運搬・販売する営業者」

比較的に小規模の食品製造加工業者さん、イートイン付きパン屋さんや飲食店さん、米屋さんや八百屋さんなど、これらのような食品関連事業者さんは一般的な衛生管理に加え【HACCPの考え方を取り入れた衛生管理】を実施すれば良いとされています!

【HACCP実施の対象外となる業種】
・農業および水産業における食品などの採取業
・公衆衛生に与える影響が少ない(食品衛生上のリスクが低い)営業
(食品または添加物の輸入業)
(食品または添加物の貯蔵または運搬のみをする営業、ただし冷凍・冷蔵倉庫業は除く)
(常温で長時間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生のおそれがない包装食品の販売業
(器具容器包装の輸入または販売業)

これらのような食品関連事業者さんは【一般的な衛生管理】のみを実施すれば良いとされています!

上記に該当しなかった食品関連事業者は、一般的な衛生管理と【HACCPに基づく衛生管理】を実施しなければなりません。

【HACCPの考え方を取り入れた衛生管理】って何するの?

結論から簡単に申し上げますと、衛生管理の計画を立て、実行し、記録することです!

企業などの活動計画でよく用いられる「PDCAサイクル」と、ちょうど同じようなものになります。
HACCPとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)を行えば良いのです。

衛生管理の計画??そんなの作れないでしょ!

安心してください!これらを行うために各業界団体が用意した手引書があります!

※飲食店さん向けの手引きは上記のように一般社団法人日本食品衛生協会が用意したものに沿って進めていけば大丈夫です!

なるほど!でもそもそも何でHACCPなんて面倒なことをしなくちゃいけないの??

ここからは私個人的な意見です。確かにめんどくさいHACCPですが、実践するメリットもあると思います。

1つ目は、衛生管理に関する社員教育の手間が軽減できること。2つ目はクレームに対応しやすいことだと思います。

1つ目の社員教育の手間が軽減できるというのは、これまでオーナーや料理長などが当たり前のように行ってきた食品に関する衛生管理は、新しいスタッフが入るたび1人1人にその教えを伝えてきました。
これはとても大切なことなので、一人前の料理人になってもらうにはとても時間がかかります。
しかし、食材ごとの取り扱い方など教えたけれど新しいスタッフも人間なので忘れることもあるでしょう。その時すぐに聞ければ良いですが、常に一緒にいる訳ではありません。結果、わからずに食品を扱い食中毒の事故など起こされた日には、たまったものじゃありません。

衛生管理の計画書を作るのは面倒ではありますが、一度作ってしまえば、皆んなで共有してすぐに確認することができます。教える側も手間が減ります。

2つ目は飲食店を経営していると、お客様から言いがかりのような理不尽なクレームを受けることもあるかもしれません。「ここで食事したら体調がおかしくなった、どうしてくれるんだ?」なんて言われ、もし因果関係がないことの因縁をつけられたときに対処する方法はありますでしょうか?

衛生管理の記録を残しておくことで、事実無根であることをはっきりと説明することができます。曖昧な記憶よりも確かな記録の方が、胸を張って対応することができるはずです。

他にも当然、衛生環境が向上している訳なので自社商品に自身を持って販売することもできるし、食の事故など起きにくく悪評が立つことを防ぐことができますSNSが発達した現代で食の事故を起こした営業者がかんたんに炎上していることは皆さんご存じだと思います。

衛生管理計画書ってどうやって作るの?

前置きが長くなりましたが、いよいよHACCPでやることの第一歩「計画」の作成です。

計画書なんて作れないよ!!

大丈夫、安心してください!先ほどの手引き書に、計画書のひな形があります!!

以下がそのひな形ですが、項目を埋めていくだけで計画書が作成できます!

例えば1の「原材料の受入の確認」とは、食品を仕入れてきたとき何をしてきたか?を書くだけです。食材の何を見てどんなことに気を付けて管理してましたか?おそらく、においや見た目で何か異変がないか確認して、おかしな食材があれば返品や交換をしてきたと思います。

同じように①~④-2までを埋めていくと、およそこのようになると思います。

※これは手引書に載っている記載例なのですが、およそたいていの場合この通りになると思います。

「なぜ、その作業をおこなうのか?」という視点で考えていただけると作成できると思います。例えば②庫内温度の確認とは、食中毒の発生リスクのある菌やウイルスの増殖を抑えるために温度管理が必要だからです。

同じように③-1は二次汚染を拡大させないため③-2は汚染を広げないため③-3は人の手を介して汚染を広げないため④-1は従業員から感染するのを防ぐため④-2も手から汚染するのを防ぐためです。(簡単に説明すると…になります)

次にこちらのひな形ですが、ここにはお店のメニューを大きく3つのグループに分けその管理方法を記入します。

「3つのグループに分ける」とは、料理を危険温度帯(10°~60°の間)に長時間置いたままにしないように、お客様に提供されるまでの間に料理がどの温度になるか?に着目して、その調理工程の特徴ごとに分類します。

食材や料理を危険温度帯に長く放置しておくと、食中毒の原因となる菌やウイルスが増殖してしまいます。しかし、短時間であれば害を及ぼすまで増殖しないため、速やかに低温(10℃以下)または、高温状態(60℃以上)となるように心がけます。

グループの分け方は、
第1グループ‥「冷蔵品を冷たいまま提供する非加熱のもの」(例:冷ややっこ、刺身など)
第2グループ‥「肉や魚など冷蔵で保管していたものを調理し加熱するもの」(例:ハンバーグ、焼き魚など)
第3グループ‥「調理した後に一時的に保存し、提供する時に再度加熱するもの」(例:カレー、ソース、ポテサラなど)
に分類します。

先ほどの表ではここに当てはまります。

お店のメニューごとにその管理方法を考えて記入すれば衛生管理の計画書は完成です。以下の手引書の記載例のようになると思います。

第1グループ」に分類されたメニューは加熱することがないため、万が一食材に有害生物が付着していても加熱殺菌ができません。そこで有害生物が増殖しないように常に冷蔵庫など低温で保管することが大切です。
第2グループ」に分類されたメニューは比較的に肉や魚などが多くなり、有害生物が付着している可能性があります。しかし加熱殺菌が可能となるため、食材の中心部までしっかりと火を通すことが大切です。
第3グループ」に分類されたメニューは、一度火を通したからと言って死滅しない有害生物もあるため、危険温度帯に長時間置いておくことは危険です。調理後はできるだけ速やかに冷却し低温で保管、提供時に再び加熱するとき
しっかりと火を通しましょう

なんだ、今までしてきたことをただ書くだけでホントに出来上がるんですね!

はい、あとはこれを皆んなで共有して実践し、記録を残しておくだけです。

計画の実践と記録、改善

計画の実践はスタッフ皆んなで実行しなければ意味がありません。誰か一人が取り残されないように皆んなで共有しましょう!

そして実践したことの記録ですが、これも手引書には記録用のひな形が用意されています。

一気に2枚ともご覧ください。
万が一、その日に何かあったならそのことを特記して記録に残しておきましょう!

最後に、計画を実践している中で何かおかしな点が見つかったり万が一クレームなどがあれば、業務を改善し計画書を見直して修正していきます。

業務改善ができれば、結果的にお店のためになりますね!

まとめ

【HACCPについて】
・食品衛生法の改正によりHACCPが義務化された
・飲食店は「これまで行ってきた一般的な衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行う
・HACCPでやることは主に「計画の策定」「実践」「記録」「改善」
・計画書や記録はひな形が用意されていて、その項目を埋めていくだけで作成できる

難しいと思っていたHACCPが意外と簡単でご自身でも作成できる!実践できると思っていただけたら幸いです。(わかりやすくを心掛けており、大雑把な解説はお許しくださいませ)

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※メニュー数の多さや調理工程の複雑さに応じて、別途追加料金が発生する場合がございます。
※当事務所スタッフの交通費はお客様にご負担いただくようお願いしておりますので、ご注意ください。

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