何か事業を始めるために物件を探すとき初期費用を安く抑えられるはずの居抜き物件ですが、思わぬトラブルやデメリットに気を付けなければなりません。
そこで、行政書士の目線でその注意していただきたい事と、実際に開業されたオーナー様たちの生の声からその注意点を大きく6つかんたんにまとめました。
この注意点を見落として物件を選ぶと後でしっぺ返し、要するにかえって費用が嵩むこともあり得るかもしれません!
ぜひ今回の記事を最後までお読みいただき、物件を選ぶ時の参考にしていただければ幸いです。
知っておいてほしい事、裁判にもなった事例の紹介
まず初めに、知っておいていただきたい事は「その居抜き物件で希望する営業をすることができるのか調査するのは、原則、借主である」ことです。
これは最近争われた裁判で出された判決ですが、居抜き物件を借りた側と貸した側で実際にトラブルになった事例があります。
ざっくりとこのような内容です。
飲食店の営業を目的として借主Xさんは、貸主Yさんより居抜き物件で賃貸借契約を終結しました。
物件の引き渡しを受けて内装工事を始め、消防法に関する手続きを進めたところ排気ダクトの是正を消防署に指示されました。
しかし、ダクトの設置や交換はそもそも建築基準法に適合せず、この物件では飲食店を営業することは始めから法的に不可能だったんです。
借主Xさんは貸主Yさんに対し、契約の解除と損害賠償を訴えます。
Yさんは契約の解除に応じ礼金や前払い賃料などの返金は行いましたが、実損については裁判となりました。
裁判所は「希望する営業をするためにはどの程度の設備を必要とするのか、現状の設備やその性能が希望する営業形態に合致し使用できるのか、について法令上の制限の有無も含め調査するのは借りる側にあり、賃貸借契約の内容として合意したからといってXさんの希望する営業に適合することをYさんが保証したものとは言えない」と判断しました。(東京高判 令3・9・15)
似たようなトラブルは意外と多いらしいです。
【結論!】
居抜き物件であっても自分が希望する営業ができるのか調査する責任は借りる側にあります。
以前に飲食店で貸されていた店舗だからと言って同様に自分も飲食店の営業できるとは限らないこともあります。
わたくしも同じような経験をしたことがあります。
同じ支部の先輩からのご紹介で深夜営業するBARの手続きを手伝いに行った時の話です。
そのお店のカウンターの高さがほんの少しだけ高すぎて、法令に適合していなかったんです。聞くところによると、その店舗はやはり居抜き物件で賃貸されたようでした。
※この話の結論は秘密なのですが、違法なことはしてないですよ(笑)実際にお会いすることがあればお話しいたしますね。公にするべきではないだけです。
レイアウトや雰囲気、厨房の広さなどのチェック
前述のように、その居抜き物件でイメージ通りの営業ができるのかは法令に適合することも重要ですし、レイアウトや厨房の広さ・全体の雰囲気も大切です。
これも経験談ですが、同期の行政書士から中華料理店の深夜営業について少し相談されたんでGoogleマップでお店を調べて見てみると、「あぁここは中華料理屋の前はスナックだったんだろうなぁ」と感じられるような作りだったんです笑
以前のお店の雰囲気が残っている場合もよくありますから、ご自身のイメージ通りなのかどうかは居抜き物件を選ぶ時の査定ポイントです。
逆に、以前のお店の常連様が”店がリニューアルしたんだ”と勘違いして入って、そのまま常連客になるという話も聞いたことがあります笑
それに、厨房の広さなどはオーバースペックだったりすると、なんだか余分に賃料を払っている気持ちにもなりますから、これも物件選びで考えるべきポイントです。
設備(空調・換気・吸気)などのチェック
さて、お店全体の次は、細かい部分ですが設備面も見ていかなければなりません。
スライダック
例えば、以前は通常の飲食店だった居抜き店舗でBARを始めようとした場合、これが装着されていると付け替えなければならないのです。
ダクト
先ほどの裁判の事例のように、飲食店の営業内容によりますがダクトはかなり重要な設備です。その居抜き物件の空いている期間が長いと稀に「使えない」や「壊れている」など不具合があったりもするそうです。
給湯器や冷蔵庫
お湯が供給される環境や冷蔵庫などは、営業許可を取得する上で必要となる設備ですから、必ずチェックしましょう。
不運なオーナーさんは営業を開始してしばらくすると冷蔵庫が壊れてしまったようで、これも居抜き物件では仕方ないことだとおっしゃってました。
初期費用が抑えられた反面、古いものも撤去して新しい物に入れ替える時など、後でちょっと出費が発生するかもしれない事を想定しておくと良いでしょう。
私も仕事道具は消耗品と割り切って、中古品でいいものは中古で買って出来るだけ支出は抑えます。
客層や立地と賃料を考える
居抜き物件に限った話しではありませんが、客層や立地と賃料のバランスは最も重要視するポイントかもしれません。その周辺地域の客層や人の流れなどマーケティングとご自身の希望する営業内容が合致すること、さらに賃料に見合うのかをじっくりと考えなければなりません。居抜き物件に拘るあまり初期費用を抑えられたとしても、収益が見込めない場所で営業しても仕方ありませんから、絶対に忘れてはならない項目です。
しかし、以前のお店はハマらなかったものでも、次のお店ではハヤることもあります!
お客様にとって良いサービスや商品が提供できる場所なのであれば、それは自分にとっては掘り出し物の物件と言えるでしょう。
退去するときの条件を確認します
さぁ今からやるぞ!!ってときに終わりの事を考えるのはナンセンスかもしれませんが、今のうちから念のためにチェックしておく必要はあります。
何をどんな状態でどこまで返却しなければならないのか?原状回復の内容は必ず契約終結前に確認してください!大抵は設備や備品などのリストを作成します。
移転や閉店するときに実はとんでも契約だったなんてことが無いように、契約前に必ず確認しましょう!
最後にまとめと、あと1つ重視したい事
見出しを読み返すだけで「まとめ」となるように記事を書きましたが、念のためにもう一度まとめます。
・その居抜き物件で、希望する営業ができるのか調査するのは借りる側の責任
・物件選びで吟味すべきポイントは「レイアウトや雰囲気、厨房の広さ」「設備(空調・換気・吸気)など」「客層や立地と賃料のバランス」「退去するときの条件」をしっかりと考えます。
最後に一つ付け加えたいことがあります。それは「なぜ、前のお店のオーナーさんはそのお店をやめられたのか?」をもう一度考えたいポイントです。
大抵の場合ですが、通常、赤字だったからやめる人の方が多いでしょう。もし、そうなのであれば同じ場所で同じような営業をするのは「勝てる戦略やその手腕」「それを実行できる見込み」など経営力が問われます。(例えばSNSの使い方が上手いとか)
経営者の高齢化や健康面の理由でお店をたたまれる事もありますから、その地域に詳しい不動産屋さんがいたら、聞いてみたいですね。
飲食店営業許可の手続きは、Second.行政書士事務所へ
新たに飲食店を開業するなら、元バーテンダーの行政書士「Second.行政書士事務所」におまかせください!
【食品衛生法に基づく飲食店営業許可の申請】
(フルサポートプラン)55000円(税込)~
(ライトプラン)22000円(税込)~
【風営法に基づく深夜における酒類提供飲食店営業の届出】
(フルサポートプラン)154000円(税込)~
(ライトプラン)66000円(税込)~
【食品衛生法に基づく、各種、食品製造業許可の申請】
(フルサポートプラン)66000円(税込)~
(ライトプラン)33000円(税込)~
【サービスの流れ】(ご依頼内容によって若干変化があります)
①オーナー様が希望されるお店を始めるためにはどのような手続きが必要となるかヒアリング
↓↓↓
②営業店舗の必要設備等の確認
↓↓↓
③営業店舗のレイアウト図面や書類の作成、必要書類の収集
↓↓↓
④管轄の保健所へ営業許可の申請
↓↓↓
⑤食品衛生監視員による営業所の調査
↓↓↓(風営法の手続きが必要な場合はこの後行います。)
⑥営業許可証の交付
↓↓↓
⑦営業開始
営業施設が基準に満たない場合、営業許可を取得できませんから工事着工前に設計図を持参して保健所に事前相談することをおすすめします。
【対応エリア】
「大阪府全域」「京都府の一部地域」「兵庫県の一部地域」「奈良県の一部地域」「滋賀県の一部地域」
お問い合わせ
【行政書士は単にお客様の手続きを代わりに行うだけではなく、お客様を支援する立場です!】
出来得る限りの協力を行う言わば「同盟」のような存在です!仲間は多い方がチームは強いですよね!
【安心感】手続きに慣れているため、失敗するリスクを最小限に軽減!
【信頼感】行政には相談しにくい内容でもお聞きし、回答させていただきます!
【スピード感】慣れない手続きについて調べて、書類を集めて、書いて、持って行って…。頼んだ方が圧倒的に早いです!
ご自身で手続きを行おうとして時間を奪われ、本業に遅れが生じ、大きな損失に繋がっていませんか?
お問い合わせはLINEからでも受け付けております。
コメント