メンエスはなぜ捕まる?摘発される理由と「違法」「危険」の境界線を風営法の行政書士が解説

メンエスはなぜ捕まるのか

最近、「メンズエステ経営者を逮捕」というニュースを目にする機会が増えました。

マッサージのお店なのに、なんで捕まるの?

エステと風俗って何が違うの?

利用するのも危ないのか?

ニュースを見てこんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。健全なエステティックサロンを自称していても、突然逮捕されてしまうケースもあり、経営者の方にとっては他人事ではありません。

結論から言うと、メンエスが摘発される理由は大きく2つに整理できます。

タイプ捕まる理由罰則
店舗型(マンションの一室・テナント型)店舗で性的サービスを行う営業はほぼ全国が禁止区域なのに営業した風営法第49条違反:五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金、又は併科
派遣型・出張型(無店舗型)届出をすれば営業できるのに、無届のまま営業した風営法第53条違反:六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又は併科

この記事では、なぜメンズエステの経営者が逮捕されてしまうのか、その背景にある「風営法」(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律のしくみを、風営法専門の行政書士が条文をもとに分かりやすく解説していきます。

読み終わる頃には、「エステ」と「ふうぞく」の法律上の境界線という、ちょっと人に話したくなる知識が身についているはずです。

行政書士 赤澤善朗
目次

「エステ」と「ふうぞく」の決定的な違い

男性用エステサロン?メンズエステ(メンエス)?

エステと聞いて通常イメージするのは「リラクゼーション」や「美容」ではないでしょうか。エステは特に女性が行くものだとイメージする業界ですが、最近では一部で美意識の高い男性に向けた男のエステサロンも存在します。

男性用エステサロンの例

有名なところでは「ダンディハウス」や「men’sTBC」など耳にしたことがあるかもしれません。このような「リラクゼーション」や「美容」をサービス提供するエステサロンは風営法とは関係がありません。

しかし、残念ながらそのイメージを悪用し、男性向けエステを名乗りながら実際には性的サービスを提供している店舗が少なくありません。ここにメンズエステ(メンエス)の経営者が逮捕される最大の理由があります。

お店の名称で風営法を回避できる訳ではない

一般的な男性向けエステサロンは”エステティックサロン”として営業を行っております。しかしエステと称しながら性的サービスを提供すれば、それは性風俗営業となり風営法違反で摘発の対象(可能性)となります。

性的なサービスを提供する営業はエステではなく”ふうぞく(性風俗営業)”です!男性向けエステを隠れ蓑にしても店舗で性的なサービスを行えば「店舗型性風俗特殊営業」だとみることができます

つまり、看板が「エステ」や「リラクゼーションサロン」であっても、風営法が見ているのはお店の名前ではなく営業の実態です。ここが大きなポイントです。

性的サービスの「グレーゾーン」は存在しない?

メンズエステでは、アロママッサージやリンパドレナージュといったボディケアを売りにしていますが、「直接的な性行為はしていないから大丈夫」や「密着施術、下着姿、鼠径部施術はセーフではないか」と考えている経営者の方もいるかもしれません。しかし、風俗営業法における「性的サービス」の解釈は非常に広いです。

こんな言い訳は通用しない

警察は実際の営業実態を重視します。施術内容や店舗運営の実態が、社会通念上「性的サービスを提供している」と判断されればアウトです。

ダメな例

「うちはエステなので風俗じゃない」
「お客様の自主的な要求だった」
「紙パンツを履かせているので問題ない」

どれも摘発の現場では通用しません

ニュースのコメント欄などで「◯◯だからセーフなのでは?」という議論をよく見かけますが、施術内容や店舗運営の実態が、社会通念上「性的サービスを提供している」と判断されればアウトです。

グレーを狙った営業ほど危ういのです。

捕まる理由①店舗型メンエスは、そもそも新規で開業できない

「なぜ経営者が捕まるのか」。

メンズエステ店が性的なサービスを行う場合は「性風俗関連特殊営業」に該当するため、風営法の届出を行ってなければなりません。しかし、店舗にて性的なサービスを行う店舗型性風俗特殊営業はほぼ新規で開業できないので、風営法違反になりやすいです。

メンエスは「店舗型」と「派遣型」に大きく分けられると思いますが、店舗型であれば既得権で営業している場合を除き新規で営業は始められません。

「ほぼ日本全国が禁止エリア」という驚きのしくみ

なぜ店舗型の性風俗店が新規で営業できないのかというと、新規で営業可能な地域がほぼ全国的に禁止されているからです。この禁止エリアで性風俗店を営業すると「風営法第四十九条の違反に該当し、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という罰則があります。

(店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等)第二十八条

店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。

2 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。 以下、省略

第28条第2項は各都道府県の条例で禁止エリアを決める仕組みになっているのですが、ほぼ全部の都道府県は条例で「○○県内全域」を禁止エリアに指定しています。

そのため、店舗型メンエスが摘発される理由は「禁止されているエリアで性風俗営業を行った」ものとして、風営法第49条の違反で捕まります。よくニュースなどでマンション型メンエスが摘発されている理由は、ほとんどがこの違反に該当しています。

「マンションの一室のメンズエステが摘発」というニュースの正体は、これだったわけです。届出を忘れたとか手続きミスという話ではなく「そもそも新規では開業する方法がない営業を行ってしまっている」のです。

捕まる理由②派遣型(無店舗型)は届出制なのに、無届で営業している

一方で、無店舗型性風俗特殊営業は手続きを行えば新規で開業することが可能です。もしも無店舗型メンエスが風営法の違反で摘発されるならばこの手続きを行ってなくて無届で営業をしていた場合になるでしょう。
無届で営業をしていた場合「風営法第五十三条の違反に該当し、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という罰則があります。

(営業等の届出)第三十一条の二

無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、無店舗型性風俗特殊営業の種別(第二条第七項各号に規定する無店舗型性風俗特殊営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業の本拠となる事務所(事務所のない者にあつては、住所。以下単に「事務所」という。)の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。 以下、省略

「無店舗型」はいわゆるデリヘルなどと同じような営業形態です。ネットなどから申し込みを受け付けて、お客様の家やホテルに行って性的なサービスを行うので、”派遣型”や”出張型”などと言われるタイプです。(ネットでは🚗と表現されるときもあります)

無店舗型性風俗特殊営業とは

風営法において「無店舗型性風俗特殊営業」はどのような意味でしょうか!

(用語の定義)風営法第二条第七項

この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
二 電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの 

これは超かんたんに言うと「一」はデリヘルで、「二」がアダルトグッズ通販のことで、警察庁では”アダルトビデオ等通信販売営業”と呼ばれております。これはどちらもインターネットを介して商品やサービスを提供するため無店舗型と言われております。

(ちなみに「二」のアダルトグッズ通販についてはFANZA通販の記事で詳しく解説しています)

無店舗型性風俗特殊営業なら届出をすれば開業できる

先ほど解説したとおり、無店舗型性風俗特殊営業は届出書を所轄の警察署に提出すれば、派遣型や出張型メンエスとして新規でも開業することが可能です。

ポイント

・届出書には氏名や名称、広告に使う呼称、事務所の所在地、営業の種別、客の依頼を受ける方法・連絡先などを記載します。
・「事務所=パソコンなどで受付や売上を管理する事務作業を行う場所」と「待機所=キャストなど派遣されるスタッフが待っている場所」は届出を提出すれば設けることができます。
・一方で、「受付所=お客様と対面してサービスを受付する場所」は店舗型の禁止区域の規定と同様の扱いがあるため、設置することは出来ません。

つまり派遣型は「事務所と待機所はOK、お客様を迎え入れる場所はNG」。この線を越えて実質的な”店舗”として営業してしまうと、①の店舗型と同じ問題点に該当します。ニュースで「派遣型を装って店舗営業」という表現が出てくるのは、まさにこのパターンです。

なお、この無店舗型性風俗特殊営業を行うのであれば、事務所の住所を管轄する警察署に手続きを行います

よくある質問(FAQ)

Q. なぜメンエスの摘発は「マンションの一室」が多いのですか?

A. 店舗型の性風俗営業は、ほぼ全部の都道府県が条例で県内全域を禁止エリアに指定しているため、新規で堂々と店舗を構えることができません。そのため人目につきにくいマンションの一室で営業する形態が生まれやすく、摘発される理由も「禁止されているエリアで性風俗営業を行った」という風営法第49条の違反がほとんどです。

Q. 健全なメンズエステもあるのですか?

A. もちろんあります。リラクゼーションや美容をサービスとして提供するエステサロンは、普通ならば風営法とは関係なく営業できます。問題になるのは、エステを名乗りながら実態として性的サービスを提供しているお店です。法律は看板の名前ではなく営業の実態で判断します。

Q. 摘発されるのは経営者だけですか?働いているセラピストは?

A. ニュースで逮捕されるのは主に経営者や店長など営業を行う側ですが、報道では従業員が事情を聴かれるケースもあります。求人の待遇が不自然に良いお店には、こうした背景が隠れていることがあります。働く側にとっても無関係な話ではありません。

Q. 届出さえすれば、メンエスは合法的に営業できるのですか?

A. 派遣型・出張型(無店舗型性風俗特殊営業)は、管轄の警察署に届出を提出すれば新規でも開業することが可能です。一方、店舗型は既得権で営業している場合を除き新規で営業は始められません。

まとめ

  • エステと称しながら性的サービスを提供すれば、それは性風俗営業となり風営法違反で摘発の対象となる。判断されるのは店名ではなく営業の実態
  • 店舗型は、ほぼ全国が禁止区域のため新規開業ができず、営業すれば風営法第49条(風営法で最も重たい罰則)の違反で捕まる——「マンション型メンエス摘発」のニュースの正体
  • 派遣型(無店舗型)は届出をすれば開業できるが、無届で営業すれば風営法第53条の違反になる
  • 「グレーゾーンだからセーフ」という言い訳は摘発現場では通用しない

次に「メンエス経営者逮捕」のニュースを見かけたら、「店舗型の禁止区域か、無届か」という目で読んでみてください。記事の数行から、どの違反なのかが見えてくるはずです。

無店舗型性風俗特殊営業の届出はSecond.行政書士事務所にお任せください

当事務所では、大阪を中心に風営法の許認可を専門とする行政書士事務所です。この記事を読んで、ご自身の営業が風営法に関わりそうだと感じた経営者さまは、お問い合わせフォームまたは公式LINEからお気軽にご相談ください。

開業までの基本的な流れ

STEP
事務所選び

営業を行う場所を決める

STEP
届出の提出

管轄する警察署に書類を提出する

STEP
営業開始

無事に受理されたら、その十日後から営業を開始していただけます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。風営法について何か心配事がございましたら、何でも構いませんのでお気軽にご相談ください!

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